この章は下記サイトからとらしていただきました。
http://www15.ocn.ne.jp/~oyakodon/newversion/futuunokaiwa3.htm#06.08.14

時事直言 追い詰められたわが同盟国アメリカを理解しよう
http://www.chokugen.com/opinion/backnumber/h17/jiji050307_292.htm
ご存知の通り、アメリカは世界最大の対外債務国で、日本は逆に世界最大の対外債権国であり最大の対米債権国です。
アメリカの国是は脱工業主義で消費大国、ソフト大国、軍事大国だから、アメリカの経常収支が黒字になる可能性は皆無。
供給過剰時代では「消費者は王様」だから、アメリカが消費大国になって世界経 済の指導権を握ろうとするのは当然のことです。
恒常的経常赤字は対外債務を限りなく増大させ続けるから、アメリカは常に赤字補填を続けなければドル崩壊
、経済破綻に陥る。

自分の借金が自分で払えなければ他人に払わせるしかない。自力(経常黒字)で赤字補填ができないアメリカにとって生存の道は二つ。
一つは、金融戦略で金利と為替戦略を駆使しながら黒字国の資金をアメリカへ誘導すること。
もう一つが、世界のドル市場化である。つまり、ドルを世界貿易の 決済通貨化すること。

1971年8月15日のニクソンショック(ドルと金との交換性を廃止)以来、ドルの信認が落ち続けたところへ、
2000年からアメリ カより大きいヨーロッパ経済圏でユーロが基軸通貨になりつつあった。
そこへ追い討ちをかけるように同年11月、フランスのシラク大統領がサダム・フセイン 前大統領と結託して、
イラクの原油決済通貨を従来のドルからユーロに転換させることに成功した。
これをきっかけとしてOPEC諸国にドルの危機感が広ま り、中東産油国は原油決済通貨を続々とユーロに切り替え始めた。
だから2000年はアメリカにとって、まさに
ドル崩壊の危機に瀕した年であったのです。

ドルが国際貿易や原油決済通貨ならば、世界は決済通貨としてのドルを買わざるを得なくなる。
アメリカにしてみれば、世界の貿易決済のおかげで借金返済のた めに乱発する
赤字債券(印刷の時点では無価値の紙切れ )が売れる(現金になる)ことになる。

つまり、アメリカの恒常的双子の赤字補填のもう一つの方法は、 ドルを国際決済通貨にして赤字米国債を世界中に買わせること。2000年のユーロ国際化の発足と同時に、
EU首脳(シラク)は頭脳を使ってユーロ市場を拡 大し、ドルを危機に追い込んだと言えます。
追い込まれたアメリカは頭脳で対抗できなかったから、
(9.11を演出して)武力で失地(イラク)回復をせざる を得なかったのです。

EUの頭脳的先制攻撃に対して、アメリカは(下手な言い訳をしながら)武力で反撃したのがアフガン、イラク戦争なのです。
今やっとイラクを奪還して原油決済通貨をドルに切り替えたばかりですが、
一日わずか200万バーレル(年間1~2兆円)しかアメリカの借金減らしに貢献し ていません。中東原油の約2000万バーレル(年間にして約30~40兆円)は、まだユーロが決済通貨。
アメリカの年間財政赤字分がEUの借金返済に回っ ていることになります。だからアメリカは存在を賭けて
中東の残り90%の原油を、頭脳ではなく軍事力(第5次中東戦争を起して)で奪還せざるを得ないので す。

ドルの自滅  2004年11月26日  田中 宇
http://tanakanews.com/e1126dollar.htm
▼差し迫る経済ハルマゲドン

米大手投資銀行のモルガン・スタンレーのチーフ・エコノミストであるステファン・ローチは
先週、機関投資家を集めた私的な会合の席上で「アメリカが経済的 な大破綻(ハルマゲドン)を回避できる
可能性は10%しかない」と語り、 参加者を驚かせた。
ローチは、アメリカの経常赤字がドルを下落させ続け、FRBは 国債発行を消化するため金利を上昇させる結果、
米経済の減速は間違いないという。
アメリカが間もなく不況に陥る可能性が30%、
しばらくは延命策で何とか乗り切るがいずれ破綻する可能性が60%、
破綻しない可能性は10%と予測
している。(関連記事)「西欧は大規模な金融破綻に瀕しており、それを回避するために中東など世界規模で戦争が....」
こうした大破綻の予想は、以前から散見されていた。

UPI通信の経済担当主任記者だったイアン・キャンベルは昨年、
何回か破綻を予測する記事を書いてい る。昨年12月の記事では「ブッシュ政権は米経済が崩壊し始めたときに政権に就き、
崩壊を食い止めるために減税と戦争をやって経済を再活性化しようとした が、2005年にブッシュがおそらく再選されるころには、
もはや打つ手がなくなっているだろう」と書いている。

またアジア・タイムスのぺぺ・エスコバルは、昨年5月に書いたビルダーバーグ会議に関する記事の中で
「欧州の有力なユダヤ系銀行家によると、西欧は大規模 な金融破綻に瀕しており、それを回避するために中東など世界規模で
戦争が行われているのだという」と書いた。

「世界システム論」の学者イマニュエル・ウォーラーステインは、
以前の著書で「アメリカは1980年代から衰退期に入っており、レーガン以降の歴代政権 は、アメリカを延命させるための政策をあれこれ打ってきた」といった意味のことを書いている。
パパブッシュは湾岸戦争で、クリントンは経済グローバリゼー ションで、
今のブッシュはテロ戦争とイラク戦争で自国の延命を図ろうとした。
しかし、延命策は尽きつつあるように見える。
「双子の赤字」を減らせないアメリカはいずれ破綻するという予測は、昨年末あたりから、あちこちの記事で見かけるようになっており、
その「いずれ」がいつなのか、という時間の問題になっている感がある。

アメリカの没落が始まった 13:42
http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060616
世界一の財政赤字・貿易赤字・対外債務を抱えるアメリカが覇権国家でいられるのは、その圧倒的な軍事力にもよりますが、

1.日本のお金がアメリカに環流しているから
2.ドルが基軸通貨だから です。

(それぞれに関しては『【コラム】米国を支え続ける心優しい国ニッポン』と『世界最強の通貨「ドル」の力』に書きました。) つまりアメリカは、日本からのお金を絶つか、ドルが基軸通貨でなくなれば没落します。
日本が今のところアメリカに盾突くことはありえないでしょうが、ドル 基軸通貨体制に風穴を開ければ、
必然的にアメリカ経済は崩壊していきます。このドル基軸通貨体制に最初に挑んだのが、
イラクのフセイン大統領でした。イラ クは2000年11月に原油取引をドル建てからユーロ建てに切り換えたのです。
【参考】『ドル帝国防衛――もうひとつの戦争』
しかし、この行為はアメリカの逆鱗に触れ、ご存知のようにイラクは攻撃されました。
核兵器を持っていないイランを「核兵器を開発しようとしている」と非難 し、攻撃しようとしているのも、
もちろん石油・ガスといった資源利権やイスラエルの思惑等もありますが、
イランが今年中に石油取引所を国内に開設し、イラ クと同じように、ユーロ建てで原油取引を行なおうとしているのが
大きな要因だと思われます。
【参考】『イラン:石油取引所、年内開設計画 ユーロ建てで米に挑戦か』
そんな中、アメリカの宿敵ロシアが、6月8日にルーブル建てで原油取引を開始しました。
【参考】『ルーブル建て原油取引開始 ロシア、影響力強化狙う』
資源大国ロシアはイラク戦争の時から、虎視眈々とこれを狙っていたのでしょう。
【参考】『覇権をめぐる列強の野望』
4月の下旬から既に兆候はありましたが、これでアメリカ一極支配体制の終焉は決定的でしょう。
【参考】『IMFが誘導するドルの軟着陸』
6月8日はまさに“歴史のターニングポイント”と言えそうです。